第51期 株主通信サン電子株式会社

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CEOメッセージ MESSAGE
CHIEF EXECUTIVE
OFFICER

事業構造改革により利益体質へ転換
新たな成長曲線を描く新中期経営計画を策定

代表取締役社長内海 龍輔

第51期はすべての事業で20%を超える増収
60%を超える増益を達成し、V字回復を果たす

 第51期は、前期に実施した「持続成長可能な経営基盤の地ならし」の上に、更なる事業構造改革を重ね、高収益かつ成長を実現する企業体としての基礎づくりを進めました。業績面では売上のみならず、研究開発にもしっかりと投資しながら利益を必ず確保することを意識し、5期ぶりに黒字転換した前期から大幅伸長させ、V字回復を果たすことができました。
 連結子会社Cellebrite社の米国ナスダック上場に伴うデリバティブ評価益や前期に実施した同社の一部株式譲渡の売却益における為替差益の発生等、大きな営業外収益の計上により隠れてしまいましたが、サン電子単体の事業活動においても、確実に利益創出できる企業体質への移行が着実に進み、改めて、新しい成長へのスタートラインに立つことができたと認識しています。

事業構造改革からの新たな展望
安定的にキャッシュを創出できる事業体へ

 現在の事業構成比は、Cellebrite社を主軸としたモバイルデータソリューション事業、遊技機及びゲームコンテンツを手掛けるエンターテインメント関連事業、M2MやIoTの領域で独自の製品開発を進めている新規IT関連事業の順となっていますが、第51期はエンターテインメント関連事業、新規IT関連事業ともに増収増益となり、利益創出に貢献しました。
 前々期に断行した事業構造改革を経て、事業ごとの展望が拓けてきており、今後、サン電子単体として、安定的に利益を創出できるよう取り組みを加速していく計画です。次なる展開へ向けた商品群の高機能化・差別化のためのM&Aや商品開発、新商材の研究開発への投資を進めていく考えです。

モバイルデータソリューション事業

 連結子会社Cellebrite社は、高度アクセス技術を用いた次世代ソリューション、民間向けの新しい遠隔モバイル収集システム、新しいSaaSベースの証拠管理ソリューション等の開発により、新技術、生産性、効率性等において市場競争力を高水準で維持しています。
 更なる技術拡大を指向し、2020年1月にPCフォレンジックに特徴を持つBlackBag社を買収し、データ分析分野を中心とした事業拡大を、また2021年11月にはオープンソースインテリジェンス事業を営むDigitalClues社の事業を買収し、同領域の強化を図るとともに、無期限ライセンス型からサブスクリプション型へビジネス形式の移行も進めています。
 主戦場である米国市場は、コロナ禍で犯罪が増加し、法執行機関による導入が進んだとの見方もあり、業績は引き続き好調に推移しました。また、お客様の要望が多彩になってきているなかで、今後は幅広い領域で更なる開発投資が必要になると見込んでおり、上場にて調達した資金を活用して、新たな技術の獲得、新たな商材の拡充に努めながら、事業拡大を目指していきます。
 サン電子単体の国内でのモバイルデータソリューション事業のあり方としては、Cellebrite社の商材販売に加え、情報セキュリティ関連の有用な各種商材を提供していきます。従来の情報セキュリティ商材は外部からの侵入の阻止という手法が主流でしたが、阻止できなかった場合における情報の保護については、未だ多くの課題が残されています。こうした課題を解決する差別化商材を、新たな技術や手法を取り入れつつ、充実させていきます。
 また、セキュリティ先進国の発想や技術、製品の日本市場への導入可能性についてもしっかりと精査し、市場優位性を獲得できる商材ラインアップを構成していきたいと考えています。

エンターテインメント関連事業

代表取締役社長 内海 龍輔

 遊技機関連事業は、2022年1月末に旧規則機撤去期限を迎え、新規則遊技機への入れ替え需要が旺盛でした。コロナ禍や継続する世界的な半導体・樹脂不足等による供給難で、納品が足止め状態となり、売上高増伸の妨げとなりましたが、期初予想よりも上振れての着地となりました。お客様からの需要は第52期に引き継がれ、足下でも好調に推移しています。
 一方、原価高騰やパチンコホールの減少等、将来的には不透明感が増しています。長期的な視点からすると業界再編の時期に差し掛かっているとの見解にあり、動向を見極めながら事業運営していく必要があります。そうした大きな変化の渦中でも、お客様と議論を深めながら、強力な信頼関係の構築のなかで新たな挑戦に積極的に関わることで業績の向上を目指します。
 ゲームコンテンツ事業は、コロナ禍により在宅で楽しめるエンターテインメントの地位を確立し、今後も市場は拡大傾向が続くと見込まれ、新たな成長を目指す時にあると考えます。特に当社が数多くIPを有する「レトロゲーム」ジャンルが、欧米市場を中心に人気が再来していることから、これを有効活用することにより、更なる収益拡大を見込める状態にあると認識しています。既存のモバイルタイトル、ライセンス事業を安定した収益基盤としつつ、レトロゲームIPを活用した新規タイトルの開発により新たな収益の柱を確立していきたいと考えています。
 また、フィンランドのRedstage Entertainment社が開発したタイトルについて、フランスのPID Games社と共同でグローバル配信を開始しました。その他、グローバルマーケットでの販売強化として、ハイパーカジュアルゲームにも力を入れています。今後は、VR技術資産を用いた新しいタイトルの開発も含め、日本国内・海外向け両軸で新たな取り組みに挑戦していきますので、これからの成長にご期待ください。

新規IT関連事業(M2M、AR、その他)

 コロナ禍の行動制限による影響を大きく受け、産業機器などに遠隔地からアクセスし監視・制御するシステムへの需要が増加し、非常に好調に推移しました。
 また2026年3月までに各通信キャリアが3G回線を順次停波することに備え、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが本格化したことが業績を押し上げる要因となりました。日本国内で約228万台設置されている飲料自販機の多くが在庫管理等に3G回線を使用しているなか、技術的競争優位性を維持する戦略製品「A330」「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、売上を牽引しています。引き続き各通信キャリア、パートナーと強力な信頼関係を構築しながら、長年培ってきた技術をベースに、5GやエッジAIをキーワードとする製品開発を進め、更なる競争力強化につなげていきます。
 その他、センサーデバイス「おくだけセンサー」は実証実験から本格導入フェーズとなりました。今後は、自社製センサーに限らず、他社製センサーにも容易に対応可能なマルチセンサーソリューション開発を進めるとともに、マーケティングを強化しながら、更なる機能開発、新規顧客の開拓に努めていきます。
 スマートグラスを用いた業務に活用するAR市場はまだ本格的な立ち上がりに至っていないものの、コロナ禍によるオンライン業務や、人手不足による企業の遠隔支援に関するニーズは確実に高まりました。こうした需要の広がりを受け、遠隔支援ソリューションを中心としたビジネスモデルへの転換を図り、2021年9月にマルチスマートグラスデバイスに対応する遠隔支援に特化した「Assist」の複数同時接続バージョンをリリースし、他社製スマートグラス対応を順次拡大させています。
 新規IT関連事業は今後、デバイスマネジメント「SunDMS」のクラウドサービス機能強化を含め、M2M事業で培ったモバイル通信機器とセンサー類、ARの組み合わせで遠隔管理・遠隔支援の裾野を広げ、モノの提供からソリューション提供へ我々のビジネスモデルも変革させていきます。次なる一手として高機能・高性能・高耐久性かつ国産の安心感という長年培ってきた強みに、AIや新たなセキュリティ技術も加えながら、競争力に磨きをかけ、更なる成長と社会全体のDX推進への貢献を併せて実現していきたいと考えています。

新しいことに挑戦するマインドを活性化させ
更なる付加価値の創出を意図する中期経営計画

 サン電子単体で売上高200億円を目指すとしています。
 既に事業構造改革のなかで、各事業におけるポートフォリオの見直しと注力分野の選定は終えており、今後も環境の変化を見極めながら進める必要はありますが、現段階では各事業がそれぞれの事業領域でニーズを捉えた次なる商品を数多く生み出し、大きく成長させていく計画です。社会環境、事業環境が大きく変わるなか、いずれの事業にもチャンスがあると考えています。あとは、これまで通りではなく、新しいことに挑戦し、今、世の中にない付加価値を創出していく、先人から受け継がれたサン電子らしいベンチャーマインドを改めて思い起こし、計画達成に向け一丸となって邁進していきます。
 1年目となる第52期は、まだ商材が出揃わず、スタートダッシュとはならなかったものの、年内には新商材をリリースし、第53期には収益拡大基調へ乗せ、第54期には更なる商材開発へと歩みを進められるよう、新たな成長曲線を描いていきたいと考えています。

株主の皆様へのメッセージ

 財務基盤の強化、事業構造改革が進み、第51期も株主の皆様への配当還元を実施することができました。今後はバランスのとれた資本配分を推進することで、人的視点、研究開発機能を育成し、企業価値の最大化を図りながら、株主の皆様への利益還元を重視していきます。
 また、新しい技術と新しい製品の創出により、新しい時代の課題解決に貢献するとともに、既存のお客様を大切にしながら、サン電子単体の事業規模を大きく成長させ、ご評価いただくことで、株主価値の向上につなげていきたいと考えています。
 引き続きご支援のほどお願いいたします。

中期経営計画の概要(Cellebriteを除くサン電子グループ)
■ 成長イメージ

新中期経営計画は、サン電子の新たな成長を重視、単体売上高200億円を目指す

■ 投資戦略

資本配分を戦略的に推進することで、サン電子グループ全体の企業価値最大化を図る