社長に聞くTAKARA & COグループの成長戦略

株主・投資家の皆様には日頃より当社グループへのご支援を賜りまして、心よりお礼申しあげます。
さて、株主の皆様には株主通信の冊子をお手元にお届けいたしましたが、
この「ネットで株通」では当社グループへのご理解を一層深めていただくため、
より詳細な情報をお伝えいたします。

株式会社TAKARA & COMPANY
代表取締役社長  堆 誠一郎

Q. 新型コロナウイルス感染拡大の影響は?

昨年から今年にかけては、ご周知のとおり新型コロナウイルスの感染拡大によって社会情勢が乱れ、生活様式や働き方に大きな変革があった1年となりました。そのような中でも当社グループは、「制度開示書類の作成支援」という強固な収益基盤を強みとし、経済成長に寄与するインフラとして機能することで、景気変動に左右されない安定性と収益拡大を維持しております。

また、当社グループにおいては人財が最も大切な資本であり、その中心である従業員を守りながらお客様の開示支援に支障をきたすことがないよう、積極的かつ柔軟に従来のルールに縛られることなく感染防止対策を行っております。コロナ禍における従業員の安全確保については招集ご通知でも説明のとおりです。

一方で、働き方の変化に即応すべく働きやすい環境を考慮しテレワーク、時差出勤等の各種施策を推進してまいりました。オンラインでの会議などは当社グループに限らずこのコロナ禍において一般化されてきましたが、ビジネスの側面では後に業績と合わせて説明しますが、当社グループにおいても新型コロナウイルス感染拡大はプラスとマイナス、それぞれに少なからず影響が出ており、そうした環境を乗り越えるべく前例のない中で各種施策を推進してまいりました。

Q. 「新・中期経営計画2023」の進捗状況は?

既にご報告のとおり、「新・中期経営計画2023」の初年度である2021年5月期の連結業績は、売上高は計画未達であったものの、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は計画値を上回ることができ、売上高・利益ともに過去最高となりました。ROEはファイナンスを実施したことにより8.6%に低下しておりますが、2年後の「新・中期経営計画2023」最終年度では、10%への回帰を目標としております。

ディスクロージャー関連事業では、バーチャル総会への対応、「ネットで招集」や各種コンサルティングの販売、統合報告書等が堅調であったこと、株主総会招集通知および関連文書の翻訳等の売上が前期末である5月から当期の期初である6月にずれ込み、今年は通常に戻ったことから増収増益となりました。

通訳・翻訳事業では、前連結会計年度末に「サイマル・グループ」を連結範囲に含めたことにより、売上高は大幅に増加しました。新型コロナウイルスの感染拡大により、イベントのキャンセルや縮小等、通訳事業に影響が及んだものの、遠隔同時通訳プラットフォーム“interprefy”を利用したWEBベースでの通訳対応や継続的なお取引、また、翻訳事業に関しましては堅調に推移しております。

現時点ではまずまず順調と評価できると思いますが、2022年5月期も環境変化に機敏に対応しなければなりません。コロナ禍における影響は現時点でも読み切れないところがございますが、後述のとおり当社グループの事業領域においても環境変化は一層進んでいくことが見込まれるため、様々な機会を取り込めるようにしていく必要があります。

こうした中で2022年5月期は後述の諸施策を実行し、売上高260億円、営業利益28億円を目指し取り組んでまいります。

連結業績ハイライト

連結業績ハイライト

  • セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と635百万円、調整を行っております。

Q. 急激な環境変化の中における成長戦略は?

当社グループを取り巻く環境変化では、当面具体的には株主総会プロセスの電子化、市場再編、CGコードの改訂、ESG開示要求機運の高まりなどがあげられます。こうした変化を機会と捉えて一層のソリューションをお客様に提供できるよう各事業を進化させてまいります。

まず、高度化・多様化する開示業務によるお客様のご負担軽減にお応えするために、主力製品である開示書類作成支援ツールである「X-Smart.」シリーズを、2021年5月にリリースしたとおり「WizLabo(ウィズラボ)」へとリニューアルいたしました。詳しくは特集でご紹介しております。
既にお客様にはご案内を開始しておりますが、大幅な機能向上に対しありがたいことに高いご評価を頂戴しております。お客様の利便性向上に貢献できるように本製品の拡充を推進してまいります。

株主総会プロセスの電子化では、時期は未定ですがこの1~2年の間で招集通知の電子提供が始まることが決まっております。これは印刷需要の減少等、リスクも潜在しますが、これを見据えて開発した「ネットで招集」の採用企業は毎年増加しており、販売拡大を通じて一層の成長機会と捉え推進しております。同様にバーチャル総会への関心が高まっておりますが、足元も株主総会、決算説明会の動画配信サービスが堅調です。一層のサービス向上を図り、こちらについても拡充を進めてまいります。
WEB版株主通信であるこの「ネットで株通」など、こうした環境変化を活かし、よりお客様にご満足いただけるサービスの開発・提供を進められればと考えております。

一方で、特に今年から来年にかけて影響が大きいところでは、2022年4月から適用される東京証券取引所の市場再編に先立ち、コーポレートガバナンス・コードが改訂され一段高いレベルでの説明責任が求められることになったことが挙げられます。
この影響によりディスクロージャー関連書類の翻訳や統合報告書作成に代表されるESG情報開示サポートに対するニーズが急拡大しております。また、改訂を受けて記載を拡充する必要があるコーポレートガバナンス報告書関連の支援に関するコンサルティングニーズも増加しており、こうしたプラスの環境変化を確実に捉えられるようサービスの拡充を進めてまいります。

コロナ禍において、当社グループ事業の中で一番影響を受けているのは通訳事業です。しかし通訳事業受注案件の半数以上は継続案件であり、その多くがオンライン会議に形を変えて復調しております。オンライン会議の急増に伴って大幅に採用が増加した遠隔同時通訳システム“interprefy”ですが、今後新型コロナウイルス感染拡大の脅威が低下した後も、オンラインに移行したすべてのイベント・面談がリアルの場に戻るとは考えにくく、また、大規模イベントでの活用も見込めるため、さらなる普及に取り組んでまいります。

また、利益率向上も通訳・翻訳事業の課題の一つです。営業機能の強化、業務システムのプロセス自動化を図るなど、利益率の改善を図ってまいります。

日本、世界経済のコロナ禍からの回復により、通訳・翻訳事業環境は正常化すると見込まれております。通訳・翻訳事業がコロナ禍前の収益体制に戻るには若干の時間を要すると考えておりますが、2022年5月期は相当に改善されると見込んでおります。

今後ますます多様化していく顧客ニーズに、グループ内連携をより一層強化し、付加価値の高いソリューションを提供してまいります。

Q. ESG開示に関する方針は?

当社は、株式会社東京証券取引所より現時点でプライム市場への適合基準を充たしている旨の通知を受け、プライム市場を選択し、申請を行うことを取締役会にて決議いたしました。
改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは新たにサステナビリティに関する開示に係る補充原則が拡充され、プライム市場においてはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、またはそれと同等の国際的枠組みに基づいた気候変動情報の開示の質・量の充実を進めるべきとされております。当社グループもこの原則を踏まえ、TCFDによる開示を含め、検討を進めておりますが、先駆けて当社グループの方針や取組みを適時適切に発信するため、新たにウェブサイト上にサステナビリティのページをオープンいたしました。今後は随時更新し積極的なサステナビリティ情報開示を行ってまいります。

Q. 株主還元の方針は?

当社は配当の基本方針を安定配当としており、配当性向は40~50%程度を目安にしております。2021年5月期には、自己株式の処分及び第三者割当による新株式発行を行い、調達資金は、借入金の返済を除き「新・中期経営計画2023」に基づく成長戦略の遂行に必要な重点投資を行いました。
今後も引き続き、グループ拡大のための設備投資を積極的に行うことで、収益力を高めて企業価値を向上させ、株主の皆様への利益還元を念頭に今後も事業を続けてまいります。
2021年5月期の配当金は、中間・期末合わせて54円としました。2022年5月期は、創業70周年を迎える年となりますので、記念配当として4円増配の58円を予想しております。

おわりに

市場環境が目まぐるしく変化する中で、当社グループは「新・中期経営計画2023」においてお客様の企業価値向上をより広範囲にサポートすべく、専門性の高いサービスを提供するコンサルティングファームとしての企業グループに進化していく方向性を打ち出しています。その根幹は、当社グループ創業の原点として創業者から引き継がれている「専門知識を活かして皆さんのお役に立ちたい」という考えです。
この創業の原点の実践と、ステークホルダーの皆様からの信頼がこれまで歩んできた歴史と実績であり、今日当社グループの事業基盤と顧客基盤および信頼を獲得できた価値創造の源泉と認識しております。その実現の中心にいるのが従業員であり、最も重要な財産といっても過言ではありません。
当社は創業70周年を迎えますが、この先も持続的に成長し続ける企業であるために、変化する市場環境に柔軟に対応できる体制を整え、さらなるグループの拡大を目指し一丸となって取り組んでまいります。
当社グループへ引き続きご支援いただけますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。