特集開示業務におけるDX化の潮流

人口減少を背景に加速するDX

急速な少子高齢化が進む日本では、生産労働人口が1995年をピークに減少の一途を辿っています。近い将来予測される労働力不足などの社会的・経済的課題の深刻化は「2030年問題」として懸念され、多くの企業が人材の不足や獲得競争の激化、人件費の高騰などの問題に直面すると考えられます。

高齢化率と生産年齢人口の推移(2022年以降は推計値)

内閣府(2023)「令和5年版高齢社会白書」を基に当社作成

こうした状況を背景に、近年はDX(デジタル・トランスフォーメーション) による業務の自動化と効率化で生産性向上を図り、労働力不足を補おうという動きが加速しています。今後さらなる人口減少が見込まれる中、あらゆる分野で積極的なDXの推進が期待されています。

当社グループのDX化に向けた取組み

当社グループが事業を展開する企業の情報開示の分野においても、英文開示への対応や非財務情報開示の充実など年々要請が増大傾向にあり、決算開示業務における生産性向上はお客様の課題の一つでもあります。そのため、当社グループではDXを活用した最適な支援を提供するための様々な取組みを進めています。

「WizLabo」の機能拡充

「WizLabo」について

ディスクロージャーのパイオニアである宝印刷は、統合型ビジネスレポートシステム「WizLabo」を2021年より提供し、データの一元管理による大幅な開示業務の効率化を支援しています。各種会計ソフトとのAPI連携や数値整合性チェック機能を搭載した「上位機種」の販売顧客数は堅調に推移しています。

「WizLabo」(上位機種)の導⼊顧客数の推移

生産性向上に貢献するシステム開発

「WizLabo」は上場、上場準備企業様で多数ご採用いただいている決算開示業務を支援するシステムです。このシステムの機能を強化することは、お客様の決算開示業務における生産性向上に貢献することに繋がると考え、今後もさらなる機能拡充を図ってまいります。

「WizLabo」の機能拡充事例

「監査・開示DX研究会」の発足

「監査・開示DX研究会」は大手・準大手監査法人を中心とした全10法人と宝印刷が協力し、決算業務全体の改善やDX推進などについて業界横断で議論し、課題解決に導くことを目指しています。現在は、即効性の高い取組みとして、「WizLabo」の監査法人用API開発ワークショップの活動を開始しています。今後も勉強会や業界横断的なディスカッション会を順次実施し、決算開示全体の効率性および品質の底上げに資する活動を推進してまいります。

翻訳におけるAI技術の導入

当社グループでは宝印刷、サイマル・インターナショナル、十印の3社間の強固な翻訳体制を基盤とすることで、上場企業の制度開示書類はもちろんM&Aや取締役会に関わる機密情報、IR資料などの専門性の高い案件まで幅広い翻訳ニーズに対応しており、さらには独自のノウハウで学習させたAI翻訳エンジンを保有しています。

3社が協働する事により、
強いシナジー効果を生み出しています。

宝印刷では、ディスクロージャー&IR翻訳のリーディングカンパニーとしての知見を活かし、同AI翻訳エンジンを活用し翻訳されたテキストのレビュー・編集を行うMTPE(機械翻訳ポストエディット)プランを提供しています。

社内におけるRPAの活用

DXを活用したクライアント企業への支援強化の一方で、当社グループ内の業務においても積極的にDX化を進めており、資料作成、データの収集・検索・加工などの業務にRPAを活用し、業務の正確性を担保しつつ、業務効率化・省力化に繋げています。

RPA活用例

タスク管理のために毎日手作業でリストを作成していたが、RPAを導入し、朝一の手作業をロボット化して効率化が図られた!

チェックツールを自動化したことで、RPAが事前に結果を出してくれるため、作業時間が2~5分短縮された!

決算短信のチェックにおいて、目次と本文の突合チェックや必須項目の確認など、目視で行われていたチェックが機械化され、チェック漏れの減少に貢献している!

用語解説

RPA(Robotic Process Automation)

ソフトウェアロボットによる自動化技術で、ルーチンなタスクの自動化や効率化を実現すること。人間の作業を代替し、デジタル化されたプロセスを自動的に実行することで、時間やコストを削減し、生産性を向上させる。