クローズアップ東京証券取引所(東証)における市場区分の見直しと当社ビジネス

皆様もご存じのように東証では、いよいよ今年4月4日に3つの新たな市場区分(プライム・スタンダード・グロース)への移行を予定しています。
新区分では、持続的な企業価値の向上や市場の活性化等を目指すために、新たな上場基準、上場維持基準が設けられており、上場企業はより一層IR活動を強化する必要があります。

東証市場区分の見直しとは?

現在の4つの市場区分(市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ)は、東証と大阪証券取引所が2013年に株式市場を統合した際に、上場会社や投資者に影響が出ないように、それぞれの市場構造を維持したものでしたが、各市場区分のコンセプトが曖昧であり、多くの投資者にとって利便性が低い、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けの点で期待される役割を十分に果たせていない等の課題がありました。

この度の市場区分の見直しでは、現在の市場区分が3つに再編されて、それぞれ明確なコンセプトが設定されます。

市場区分の見直し

上場企業に求められる課題は?

再編後の新市場区分では以前より厳しい基準が求められるようになります。新規上場基準と上場維持基準は原則共通で、市場変更をする場合でも新規上場基準と同等の基準をクリアする必要があり、各上場企業は様々な対応が求められるようになります。

持ち合い株式の解消
新しい上場基準の大きな特徴として株式の高い流動性が求められるようになり、流通する株式の定義の見直しが行われ、「国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式等」の「政策保有株式」や「持ち合い株式」と呼ばれる株式が市場区分の見直しでは非流通株式となります。
各企業は持ち合い株式の解消を行い、かつ流動性を保つために国内・海外機関投資家や個人投資家に向けた積極的なIR活動が必要となります。

コーポレート・ガバナンスの強化
東証は、各上場企業に対し実効的なコーポレート・ガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめた「コーポレートガバナンス・コード(CGコード)」を定めていますが、新市場の特性に応じたガバナンス強化のために2021年6月にCGコードを改訂しています。
特にプライム市場は海外機関投資家との建設的な対話が必要とされる企業向けの市場であるため、一層高い水準のガバナンス体制が求められています。

コーポレートガバナンス・コード:対象範囲の変更

コーポレートガバナンス・コード:対象範囲の変更

当社ビジネスの市場再編への対応

前記のとおり上場企業にはCGコードへの対応を行うことが求められますが、当社ではこの基準の見直しに伴うCGコードの改定で顧客企業を支援する領域の拡大を進めています。
このようなコーポレート・ガバナンス体制の構築支援に対して直接的にコンサルティングを行っていますが、それ以外にも様々なサービスがございます。

  • 通翻訳の範囲拡大

    一連の環境変化の目的として海外投資の拡大が挙げられますが、CGコードで謳われているように海外機関投資家に向けては英文開示書類の充実が必要となります。当社グループではサイマルを含めて通翻訳体制を拡充しており、招集通知や有価証券報告書といった法定開示書類から決算説明会資料、統合報告書、CG報告書等任意のIR書類にいたるまで幅広く高品質な翻訳サービスを提供することができます。IR活動の活発化に伴う海外機関投資家との直接、またはオンラインによる面談時の通訳や決算説明会・株主総会の同時通訳等も含まれます。

  • サステナビリティ情報の発信拡充

    CGコードの改定では、サステナビリティにかかる開示情報の充実が求められるようになりました。当第2四半期でも収益増の要因にもなった統合報告書等が当たります。
    当社グループではディスクロージャーからIR、ESG情報開示におけるシンクタンクである総合ディスクロージャー&IR研究所を有しており、知見を活かしてコンサルティングから情報発信の統合報告書の作成、サステナビリティWEBサイトの制作まで幅広く提供しています。

    TAKARA & COMPANY統合報告書2020

    TAKARA & COMPANY統合報告書

  • オンラインコミュニケーションの強化

    CGコードでは株主・投資家との対話強化も求められます。そのため各企業は対話を行うために決算説明会や株主総会等様々な対話チャネルを構える必要がございます。
    そうした中でもコロナ禍で進んだ決算説明会や株主総会の動画配信、「ネットで招集」や「ネットで株通」等の企業発の媒体等、株主・投資家と企業のオンラインコミュニケーションを実現するサービスが求められます。また個人投資家向け情報誌「ジャパニーズ インベスター」はオンラインで個人投資家説明会を実施し、企業と投資家をつなぐ役割を担ったり、これまでのIR支援サービスをより強化し拡販に努めています。

    TAKARA & COMPANY「ネットで招集」

    TAKARA & COMPANY「ネットで招集」

    ジャパニーズ インベスター

    ジャパニーズ インベスター

当社グループではすべての環境変化にはリスクと機会が内在していると考えます。
本特集のように市場区分の見直しでも様々な機会が生じています。こうした環境変化により生まれる機会に即応できるよう取り組んでいければと考えます。
変化に即した新しい価値を提供し、顧客満足度を高め、顧客にとって「なくてはならない会社」を目指してまいります。

参考
東京証券取引所ウェブサイト 市場区分見直しの概要