社長に聞くTAKARA & COグループの成長戦略

株主・投資家の皆様には日頃より当社グループへのご支援を賜りまして、心よりお礼申しあげます。
さて、株主の皆様には株主通信の冊子をお手元にお届けいたしましたが、
この「ネットで株通」では当社グループへのご理解を一層深めていただくため、
より詳細な情報をお伝えいたします。

株式会社TAKARA & COMPANY
代表取締役社長  堆 誠一郎

Q. 2022年5月期の業績と中期経営計画の進捗状況は?

2022年5月期は5期連続の増収増益決算となり、昨年に続き過去最高の売上高・利益となりました。収益認識基準による影響などにより売上高は計画未達となりましたが、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は計画を上回っています。

ディスクロージャー関連事業はその他分野の収益認識基準によるマイナスが大きく減収となりましたが、そのほかの3分野の好調により増益となりました。
昨年5月にリリースした決算プロセス自動化ツール「WizLabo(ウィズラボ)」は業務効率化のトレンドにより引き続き導入顧客数が増加しており、また、東証市場再編の影響による開示書類の翻訳や、ESG開示の拡充に関するサービスの増加、2022年9月に施行を控えた招集通知の電子化を見据えた「ネットで招集」の受注が拡大するなど、環境変化を捉えた提案活動が功を奏しました。
また、2022年1月にリブランドを行った「WizLabo Library」はインターフェースの大幅なリニューアルなどにより好評をいただき、過去最高の導入顧客数となりました。

通訳・翻訳事業では新型コロナウイルス感染拡大の影響が一部残るものの、行動制限の緩和により大型会議が徐々に再開されるなど、回復してきており昨年に比べ大きく増収増益となりました。
通訳事業では「interprefy」を活用したオンライン会議の普及や、翻訳事業では、堅調な大手顧客に加え新規顧客を開拓し、経営関連やマーケティング、医薬、AI関連等の領域の文書を中心に売上を大きく伸ばしました。また、利益面では生産性の改善、販売管理費のコスト削減効果もあり増益となりました。

なお、この「通訳・翻訳事業」分野には、ディスクロージャー関連事業における通翻訳の売上は含まれておりません。

中期経営計画二年目の成果としてはまずまずだったと考えておりますが、収益認識基準の影響や直近の業績動向を踏まえ、中期経営計画最終年度の業績目標を修正いたしました。

売上高は当初の計画は300億円でしたが270億円、利益は、両事業ともに重点施策が計画以上に進捗したことにより、中期経営計画の最終年度の利益目標を前倒しで達成することができたため当初計画29億円のところを36億円としました。
最終年度の目標達成に向け、重点施策のさらなる強化を図ります。

Q. 中期経営計画最終年度の計画達成に向けた取組みは?

今期は中期経営計画の最終年度を迎えます。二年目までを振り返ると当社を取り巻く環境の変化は大きく、こうした動きはしばらく続いていくものと考えられます。当社は創業以来、環境変化に機敏に対応し続けることで成長を実現してきました。現在のこの環境変化にもいち早く柔軟に対応することで以下のように顧客満足度を高めたサービス提供に取り組んでまいります。

  • 招集通知の電子化

    2022年9月に施行される会社法改正により招集通知の電子化制度がスタートします。当社では顧客へ適切な情報発信を行うとともに、WEB版招集通知「ネットで招集」をはじめ、招集通知電子提供書面送付代行サービスなど、多角的にサポートできるサービスを整えており、これらのサービス展開により、電子提供制度への支障のない移行にも貢献していきたいと考えております。

  • 四半期開示の見直し

    現在、金融商品取引法に基づく四半期報告書の提出義務を廃止し、取引所規則による四半期決算短信への一本化の議論が行われています。四半期ごとの決算にかかる業務負担を軽減する代わりに、開示内容の充実を目指すものでもあり、特にプライム市場上場企業では開示書類の翻訳、非財務情報開示の充実が求められています。当社は和英同時開示への対応やESG情報開示サポートなどの体制のさらなる強化を図り、顧客企業の開示充実を実現します。
    また、開示書類の作成支援から入力代行までの一貫したサポートを行える子会社のコンサルティング専門会社の支援により、一層の業務効率化のため広がる決算・開示業務のアウトソーシングニーズに応えていきます。

  • 非財務情報開示の拡充

    TCFDや人的資本に関する市場からの開示要請は高まりを見せており、プライム市場上場の企業以外にも広がりを見せています。それに伴う統合報告書やウェブサイト制作に関するニーズも高まっており、今後も引き続き拡大が見込まれます。ツール制作だけでなくコンサルティングを含めたさらなる支援体制の強化を図っていきます。

  • 行動制限の緩和による通訳ニーズの回復

    新型コロナウイルス感染拡大は依然として続いているものの、足元では一部海外の渡航制限の解除や大型イベントの再開など、顧客企業の事業活動は回復傾向にあります。急回復する通訳需要や、遠隔と対面をミックスしたハイブリッド型会議の増加に対しては、各種オンラインツールと機能統合された遠隔同時通訳プラットフォームinterprefyの新サービスの展開等を行うことで、サービス領域を拡大していきます。

Q. サステナビリティ経営の実現に向けた取組みは?

これまでCSR経営を掲げサステナビリティ経営に取り組んできましたが、社会と当社グループが共存共栄していくために、改めて現状の体制の点検や見直しを行い、2022年1月にサステナビリティ委員会を新設しました。
そして、サステナビリティ委員会が中心となり、当社グループが社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について適切に対応しサステナビリティ経営をより一層推進していくための指針として、「サステナビリティ基本方針」を策定いたしました。今後当社が事業活動を通じて持続可能な社会づくりに貢献していくための重要な指針となるものです。また、その基本方針のもと5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
今後当社はこのマテリアリティを軸に、サステナビリティに配慮した企業経営に取り組んでまいります。

また、当社にとって重要な課題の一つでもある情報セキュリティへの対応として、情報セキュリティ委員会を設置しました。改めてグループ各社の情報セキュリティ体制を把握し、グループ全体で確保するとともに、維持、発展させることを目的としています。

持続的な成長を実現するためには、戦略の実行だけでなく基盤の強化も重要です。
顧客企業にとって必要不可欠なサービスを提供し、取引先と共存・共栄を分かち合うビジネスパートナーとして、株主の皆様に投資メリットをもたらす企業として、社員が働きがいを感じ成長機会を得る職場として、社会全体のサステナビリティに貢献する存在として、あらゆるステークホルダーへの価値提供を果たすため、一層のサステナビリティ経営の推進を実行してまいります。

おわりに

2022年に創業70周年を迎えましたが、これもひとえに株主をはじめとしたステークホルダーの皆様のご支援の賜物であり、深く感謝申しあげます。
当社グループは今、専門性の高いサービスを提供するコンサルティングファームとしての企業グループに進化していく方向性を打ち出しています。その根本の考え方は創業の時と同じ「専門知識を生かして皆さんのお役に立ちたい」という想いです。
当社グループにはお客様のお困りごとに応えられる様々な専門知識があります。グループ各社の専門知識を研鑽し、シナジー創出を図ることで、持続的な成長を実現してまいります。

当社グループへ引き続きご支援いただけますよう、よろしくお願い申しあげます。